在タイ日系企業の現状と実態

景気の冷え込みがもたらす日系企業への影響

ジェトロが実施した「2019年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」の結果において、2019年の在タイ日系企業の景況感を示すDI値は悪化した。米中貿易摩擦の動向や中国経済の減速、通貨バーツ高などさまざまな懸念要因があり、楽観視できない状況が続いている。(DI値はDiffusion Indexの略で、営業利益が「改善」すると回答した企業の割合から「悪化」すると回答した企業の割合を差し引いた数値。景況感がどのように変化していくかを数値で示す指標。)

出所:ジェトロ「2019年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」

景気の冷え込み

2019年の在タイ日系企業のDI値は、ASEAN6カ国(フィリピン、インドネシア、ベトナム、マレーシア、タイ、シンガポール)の中で、ワースト2位になった。

営業利益見込みが悪化する理由として、「現地市場での売り上げ減少」「輸出低迷による売り上げ減少」「人件費の上昇」「為替の変動」があげられた。

経済高度化への打開策

人件費の上昇若年人口の減少などから、労働集約型産業への依存は難しい。「中進国の罠」に陥るとの懸念もあり、産業構造のさらなる高度化が必要とされる。

こうした状況に危機感を抱いたタイ政府は、産業構造高度化を通じてタイ経済の高度化を狙う「タイランド4.0」構想を打ち出した。

自動車生産台数の減少

タイ工業連盟によると、2019年11月の自動車生産台数は15万4,000台と前年同月比21.8%減となった。前年同月比でのマイナスは7カ月連続であり、さらに2桁の減少は2カ月連続となった。自動車生産台数の減少要因として考えられるのは、自動車ローン審査の厳格化である。タイ国内の景気が減速する中、タイ中央銀行は金融機関に自動車ローン審査の厳格化を要請、不良債権化を嫌う金融機関がそれに従い審査を厳格化したことで新車市場が縮小し、国内向けの生産が落ち込んだ。また、バーツ高や米中貿易摩擦の影響により、輸出向けの生産も落ち込んだ。このような自動車業界の不振が、化学、鉄鋼・非鉄、一般機械、商社、運輸など、関連する他業種にも悪影響を及ぼしている。

バーツ高のもたらす影響

バーツの対ドル相場が6年ぶりの高値圏で推移している(2019年12月末時点)。東南アジア諸国の中で、比較的、財政が健全なタイに資金が流れやすい構図が背景にあり、バーツ高の影響で輸出産業や観光業が打撃を受けている。タイ中央銀行はバーツ高抑制のため、政策金利を引き下げた。加えて、資本流出規制の緩和などによる新たなバーツ高対策を打ち出すなど、さまざまな対策を講じるものの、現状、有効な対策となりえていない。バーツ高は輸出競争力の低下に作用する一方、輸入コストの低下をもたらすことから、企業は短期的に輸出よりも国内ビジネスを強化すると考えられる。

優れた投資環境

マイナスなことばかりのように思えるが、「市場規模/成長性」「取引先(納入先)企業の集積」「安定した政治・社会情勢」など、投資環境面でのメリットは多様であり、日本からタイへの投資額が他国と比較して大きいことも特徴の1つといえる。加えて、投資環境面でのメリットの中でインフラが充実していると回答した企業は、電力、道路、通信の充実を挙げており、主要なインフラに対して一定の評価を得ていることが分かる。

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